ねんがんの プレイステーションマガジン をてにいれたぞ!
というわけでプレイステーションマガジン
1996年4月12日号、4月26日号を入手しました。
やっと二冊揃ったよ~~駿河屋ありがとう。
これには『ウィザーズハーモニー特別座談会~Wizard’s Harmoniyに見る成功と失敗~』
という題で、二号続けてのスタッフインタビューが掲載されています。
合わせて4ページですが、当時のスタッフの言葉はなかなか無いので貴重!
色々確認してたら遅くなってスミマセン!まずは前編からどうぞ!
座談会参加メンバーは
・宮下氏(広報)
・吉田氏、大貫氏(プログラム)
・村瀬氏(キャラクターデザイン)のスタッフ四名。
・千田氏、柏又氏(記者)です。
吉田氏、大貫氏はのちにエタメロのゲームデザインや
悠久のプログラムを手掛けています。
村瀬氏含めて移籍組ですね。
千田:このゲームは、編集部内でも、読者によるハガキのレビューでも、
賛否両論に意見がわかれているんですね。
このゲームを支持してくれる人は、全キャラ制覇するような勢いで熱中してプレイしているんです。
ゲームとして、非常にいい要素を持っていると思うんですよ。
実際、発売されてから品切れ状態が続きました。発売後の反響はどうですか?
宮下:そうですね。パソコン通信で発売前からいいらしいぞという情報が流れて、
発売日には品切れになっているところもありましたし。
うちでインターネットのホームページを持っているんですが、
反響はよくて、書き込みは多いです。
ゲームの攻略法とか、キャラクタの設定とかのコーナーの人気が高いです。
千田:やっぱり、キャラの人気が高いですか?
宮下:1人のキャラにハマっている人が多いです。
女性のユーザーさんが思っていたよりも多かったのには驚きました。
千田:女性ユーザーも多いですか?
宮下:アンケートハガキの戻りを見ても多いですね。
中にはバレンタインにチョコレートを貰ったキャラもいます。
千田:キャラの話が出たのですが、
キャラとそれを取り巻く世界観の設定がしっかりできている。
これもこのゲームのいい点のひとつだと思うんだけど、システムで不満点が多いのも事実ですね。
特に音声面ではかなり不評なのでは。
宮下:いきなりそっちに来ましたか。
千田:システムで不十分が多かったので、そのあたりで、離れていった人が大勢いると思いますね。
千田:キャラの人気は高いのですが、
あの個性的なキャラはどのようにしてできあがったのですか?
村瀬:まず、このゲームの世界に登場するのに考えられるキャラのパターンを考えました。
メガネっ娘、ネコ耳娘など…。こういった作業は初めてだったんですが、
あまり制約がなかったので、やりやすかったですね。とまどいはありましたけど。
吉田:キャラを描いているときはおもしろかったよね。
かなりの数を描いたんじゃない?
30人ぐらいはできて、そこから削っていって…。
千田:そこで残ったのが、ゲームに登場しているキャラですね。
だから個性的なキャラが生まれ、それぞれ人気が高い。
ところで作るのに苦労したキャラや、あっさりできたキャラはいますか?
村瀬:そうですね。苦労したキャラっていうと、全員苦労したんですけど。
さすがに数を描いていると、最初の頃と絵柄が変わっちゃって…。
オープニングが一番最後にできたんですが、そのクオリティが一番高い。
大貫:冗談でデザイナー代わったんですか、って言われたりして(笑)。
千田:ちなみに、村瀬さんの趣味が全面に出たキャラっています?
村瀬:シンシア、レジー、チェスターは、描いていて、自分の趣味が出ましたね。メリッサは…。
吉田:メリッサは俺がつくったんじゃないって(笑)。
宮下:メリッサは、個性的なキャラですからね。
やはり、ああいう現代の女の子っていうキャラは生まれるべくして、生まれたというわけですね。
千田:ゲームができあがって、改めて好きになったキャラはいます?
大貫:うーん、生徒会長かな。あとは、ラミカかな。実はこの2人は最後の方で、無理やり入れたんですよ。
吉田:そうそう、無理やり。
千田:隠しイベントですね。
あの2つのイベントは、最後の最後に決まったんですか?
村瀬:だから、絵のレベルが一番高い(笑)。
千田:あと、セシルの温泉シーンもかなり力が入っていたような気がするんですが…。
宮下:やはり、ああいうシーンですからねぇ。力入れてつくらないといけませんよね。
千田:セシルは、最初から女の子だったという設定だったんですか?
大貫:男のフリをしている女の子っていう設定は最初から決まってましたね。
千田:最初の設定から変わってきたキャラっています?
村瀬:うーん、シナリオが完成してから、それに合わせて変えていったという感じですね。
千田:具体的には誰が…。
村瀬:システィナ。
大貫:いや、システィナは、声が入った時点で、性格が変わったんだよ。
千田:あの、ちょっととぼけたような声なので、
天然ボケのキャラになってしまった、と。
村瀬:彼女は名前を、システィナ礼拝堂からとったんですよ。
宮下:だから、教会の娘だという設定だったんです。
かわいいキャラなので、わりと人気が出るかなと思ったら、
アンケートハガキのキャラの人気投票では、5位か6位くらいでした。
ちょっと残念です。
千田:キャラに関するイベントなんですけれど、
前に戦争が起きていたという設定から、
大きなストーリーがちらほら見えてくるんですよ。ジャネットの父親の話とか。
世界設定がしっかり作られているのですが、どのように作られたんですか?
大貫:これは吉田が、うちの会社に来る前に、
RPG用の世界設定としてつくっていたものを使わせてもらったんです。
そこでしっかり作られていたので、それを活かしていろいろストーリーを広げていったんです。
千田:イベントをいくつかやっていくと、大きな流れを感じる。
特に、戦死した霊がやどった剣を、石になってしまった恋人の元へ届けるシナリオには感動しました。
そういった部分も魅力のひとつです。
柏又:システム面で気になったところなんですが、
魔法の勉強をしていっても、それを役立てる部分がないんですよね。
大貫:これは、まぁ、アドベンチャー部分で、魔法を使うところはあるんですが、うまくいってないですね。
柏又:この魔法を上げていくと、この女の子と仲良くなれるとか、
そういう部分がないので…。
大貫:そこは、ちょっと辛かったかなぁ、と。
柏又:例えば、祭りのイベントで、毎回デイル先輩が出てきて、同じことを言う。
あの部分はいらなかったのでは、と思うのですが。
千田:あと、魔法検定のときも。
大貫:正直にいっちゃうと、あの部分って、足りないと感じて、
あとから増やしたところなんですよね。
逆に増えすぎちゃったかなぁ…。反省してます。
(しばらく本誌の読者レビューのハガキを見る)
村瀬:高校生が多いね。ねらっていた層とは違う。
千田:ターゲットは、中、高校生ぐらいじゃなかったんですか?
大貫:うーん、というか、学校を卒業するというのがテーマのひとつとしてあるんで、
高校卒業した人じゃないとわからないかなと思っていたんです。
そういった関係から、エンディングでも、旅立ちというか、
あの日には戻れないんだ、という寂しさを出してみたんですよ。
千田:そうですね。エンディングではそういう感じがよく出ています。
前編は以上です。システィナの声について触れられてますね。
スタッフもあれはどうかと思ってたんじゃ。アナタワカミヲシンジマスカ?
それはともかく、村瀬氏の描いた30人のキャラを見てみたい~!!
ウィズハ1は設定資料が公式で公開されてないのが勿体無いですよねえ。
昔のアークのホームページにはわずかにあったようですが…。
さて、この座談会には育成ゲームのこれからはどうなる?という副題がついています。
座談会が行われたのが1996年。ときメモ1がまだまだ人気だった時代です。
しかしそれから2000年代にかけて恋愛ノベルゲーム、恋愛ADVが主流となり、
『恋愛+育成SLG』というジャンルはどんどん下火となっていきます。
「キャラとイチャイチャしたい、ストーリーを楽しみたい、
でも数値の上げ下げとか面倒臭い」
という流れですね。残念だけど、時代の流れとして必然だったとも思います。
それでも育成ゲームの火が絶えた訳ではありません。
ウィザーズハーモニーは発売当時、『そだベンチャー』と宣伝されていました。
育てる+アドベンチャーでそだベンチャー。この命名自体はすげえダサいものの、
育成SLGにADVを加えたウィズハはこの時点で『新しい形の育成ゲーム』だったのです。
そして今現在、ウマ娘が大きな人気を得ていますし
(ウィズハやメルティランサーを思い出すとか)
女性向けでも恋愛+育成SLGの金字塔、アンジェリークの新作が発売されます。
一時期こそ混迷して、作り手も「ゲーム」の形を模索している感じですが…
時代のユーザーニーズに沿ったものへと、
形を変えながら続いていくと楽しみにしています。
後編へ続く!