ウィザーズハーモニーRの感想。そして当時を振り返る
発売は1998年11月27日。ドリームキャストの一日前に出たんですね。
その前後にヒットしたゲームはどきどきポヤッチオ、エクソダスギルティー、
1月にセンチメンタルグラフティが発売され、
ギャルゲーバブルに一区切りがついた後の作品でもあります。
さて、ウィザーズハーモニーRの最大の特徴にして魅力。女ナッツ。
主人公が女体化して男性キャラと専用エンディングがある。百合もあるよ!
そもそも裏技本で見たこれに惹かれたのが全ての始まりだったので
自分にとってはあまりにも思い出深すぎます。
ここからウィズハに悠久にエタメロとズルズルハマって二十年…。
閑話休題、Rはゲームとしての評価は低いです。
キャラが良ければ許せるとはいえ、ちょっと物足りなかったですね。
プレステ後期なのに一枚絵鑑賞モードもないし、グラフィックもいまいち。
メイン・事件シナリオもキャラシナリオも特筆すべきことはなし。
ゲームシステムに面白みはないけど、変に凝って苦痛になるよりはマシか。
でもキャラの居場所や事件イベントはリロードしまくりですよ。
一応キャラの居場所は会話中にヒントが出るものの
会話に強引にねじ込むより普通にキャラアイコン出してくれって話ですよ。
特に事件イベント…あのようわからんルーペに泣いた人は多いはず。
【シナリオ】
・メインシナリオ。魔法大会はきっかけ作り以外特に意味はない。
・事件イベント。マジでこれといって言うことがない。事件用のBGMが欲しかった。
・キャライベント。まあそれなりに。リサのシナリオが一番良い。
鳶は台詞取りしたのでよく覚えているがシナリオは微妙。
女キャラも男キャラも同等にシナリオがあるのは
ウィズハ~悠久系の素晴らしいところ。
・日常イベント。これはなかなか良い。
普段の学生生活とそれぞれのキャラクター性も垣間見えて。
アンリとリュークはムードメーカー、リサはツッコミ、ミレナは天然ボケ、
ミュンは良心、ティムはデキル奴、ニールはコメディ&オチ担当、鳶は優等生。
8人(主人公と先輩含め10人)破綻せず描けてたと思います。
【キャラクター】
・メインキャラクター
男性陣に文句はないです。
バラエティ豊かだし、この時代で男4人攻略対象なら過不足なし。
女性陣はギャルゲーとして見ると全然物足りないよね。
声優ファンにならまあ薦められるか…。
・サブキャラクター
男2人女5人。女性陣はサブキャラクターの方が濃い。
ただ萌えるかというと…ラディは良いけど。
メインキャラとサブキャラの関係はうまく派生して作られている。
キャラクター感想。
ナッツ=ティアンズ
選択肢によって女体化する主人公。
女ナッツを提案した人とゴーサイン出した人は神ですね。
それ以外では普通のちょっと不幸な兄ちゃん。
「俺も昔は魔法なんて使えなかったんだ…」という台詞はあるが、特に深掘りはない。
もう少し考古学(考古学者が夢という設定だから)オタクらしいところがあってもよかったかな。
ティム=エレイン(cv:梶原聡)
魅力的に描かれてるキャラの筆頭。クールマッドな科学者だが
このゲーム全般における、シナリオの普通さが良い方向に転がっており
いい案配で人間味のあるキャラになっています。
声も演技はぎこちないものの、それがむしろ「クールだが優しい」感じが出ていて良し。
青桐 鳶(cv:安藤計)
メインキャラ唯一の東洋属性枠。見た目はすごくいいですよ。
その分ウィズハ名物・棒読みで落とされてるような(笑)。
(ただ鳶役の方は2のガイル役ではもっと普通だったので、
棒読みも朴訥な演技でやってると思われます。)
性格設定は「善人」なんですがシナリオが…。
自分が偽善者なのか、皆にとって良い行いとはなんなのか悩むって
もうシナリオライターの手に負えなさすぎる題材では。
シナリオライターも鳶の性格を掴みきれてないのかたまに何がしたいんだお前状態になっている。
祭りイベントの選択肢は普通に矛盾あり。結局よくわからんキャラ。
リューク=セルヴァー(cv:原丈二)
性格的にはストレートな熱血バカで好感が持てます。女ナッツに一番常識的な反応を返す。
ニール=フォートニー(cv:笹野直樹)
ウィズハRはこいつがいないと成り立たないといっても過言ではない。良いキャラしてます。
シリーズ全体で見ても唯一無二の魅力があると思いますね~。声も上手いしピッタリ。
ミレナ=レン=ウェイバー(cv:岩男潤子)
メインヒロインらしいキャラ1。天然ボケお嬢様。岩男潤子氏の声良すぎ。
萌え度は高いと思うんですが、もっと色気のあるイベント多くてもよかったんでは。
ミュン=フォレスト(cv:川澄綾子)
お姉さんポジション。控えめな性格とグラマラスな体型。
一枚絵に恵まれていない気がする。声は文句なし。
リサ=ユフィール(cv:桃井はるこ)
メイン女性キャラだと一番魅力的に描かれているのでは。
普段の会話もキャラシナリオも水準高し。声も可愛く個性的で◎。
アンリ=ルージュ(cv:水野愛日)
メインヒロインらしいキャラ2。14歳!
妹系キャラだが安易な萌え声にしなかったところは評価したい。
善し悪しはあるが好きですね。
・サブキャラクター
ライラ=カルネット(cv:高瀬麻里子)
先輩キャラ。全然媚びてないキャラデザなのはいいのか悪いのか。
もう少し洗練されたデザインでも良かったかと。声は相変わらず上手いです。
ラディ=セレナ(cv:豊口めぐみ)
伝統の生徒会長。男で結婚、女で百合。とても破壊力高いキャラ。
シーリア=セナス(cv:藤田明子)
ミレナのライバル。いいキャラしてるんですが何か微妙なキャラデザ。
秋草 白羽(cv:中條優美)
ロリ担当。もっとあざとくしてもいい。
マリー=フレア(cv磯脇やそよ)
ボクっ娘。見た目はかなり可愛いと思うがこれも女性ウケ男性ウケどっちも微妙そうなキャラ。
フィル=ブラウン(cv:駒津美幸)
ショタ担当。もっとあざとく!!
ティース=ウェイアー(cv:菅谷哲司)
不良。アンリと幼馴染でケンカ友達というかなり冒険してる設定。
女性ウケは良さそうなキャラですが、女ナッツのEDはなし。
削除されたというアンリとくっつくEDを見たかった。
男ナッツとのEDもそんなに美味しいものでもないし。
こうして振り返るとなんというか…
あえて媚びてないのか素で失敗してるのか。後者か。
【そのほか】
・グラフィック
通常の立ち絵が一番上手い。
一枚絵になると崩れるという残念さ。なぜなのか。
内山まゆみ氏のキャラデザは可愛いですが
女の子は中性的な可愛さって感じで色気は少ないかも。
・システム
キャラクターの能力値はED以外に意味なし。
まあEDの一枚絵保存もできないから深く考えなくていいです。
・女体化
繰り返すがこれがすべて。コンシューマでようやった。
アークシステムワークスを褒め称えます。
・主題歌
悠久エタメロ含めたシリーズ中一番好きです。
岩男潤子さんが歌うOP曲『奇跡』
水野愛日さんが歌うED曲『Again』
どちらも名曲。Againは心に沁みますよ本当に。
【まとめ】
ギャルゲーベースに男女ユーザー両方を狙ったのはわかるものの、
やはり薄かった本作。
女ナッツというアイデアは素晴らしいが、
極一部ウケしかできなかった惜しいゲームでした。
90年代後半にかけて、ギャルゲーブームが盛りを過ぎた頃から
「男女どちらでも楽しめる恋愛ゲーム」が望まれた時期がありました。
実際にいくつか発売されましたが、ウィズハRもその潮流に乗ろうとしたのかもしれません。
『ギャルゲー、友情(微BL)、女体化(乙女ゲー)、百合』の要素が詰め込まれたゲームは
当時ウィズハRの他には無かったし※、最先端を行きすぎていた感もあります。
けして完成度は高くないし、この手のゲームでもかなり鬼子的な位置にありますが
様々な属性を網羅した『ウィザーズハーモニー』の系譜だと確かに思わせてくれる作品でした。
(※1/23追記 同性にも告白できる恋愛パズルゲームとして97年6月に発売された
『ストレス レス レッスン れすれす』というモノがあります。女体化はなし)